『正門良規×#302』正門くん切ない恋が似合うのは何故

 

お久しぶりです。最近、元彼シリーズの感想やこれを書いてほしい!というマシュマロをいただくことが増え、本当にありがたいです😭

自己満足で書き始めた虚妄なんですが、反応をもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです…✨

これからも少しずつ書いていきたいと思っていますが、個人的なイメージや想像で書いているので、ご期待に添えなかったら申し訳ないです。(できれば凹むので褒めて伸ばしてほしいです…)

そして皆さんほとんど送ってくださる時間帯が深夜で、まただいぶ拗らせていて、共感しまくってます。私もはてブを書くときは必ずと言っていいほど深夜です。

 

 

今回は平井堅さんの「#302 」がめちゃくちゃ正門くんでずっと拗らせていますとマシュマロをもらい、私も曲を聴いたところ、無事拗らせまくったのではてブにしました。マシュマロくださった方のご想像と違ったら申し訳ないです🥺

 

 

 

 

 

君が誰を好きかなんて初めから分かってたんや。

 

大学から始めたベースをみんなに迷惑かけんようにって一生懸命練習する姿も

みんなにまだまだやな〜っていじられてもいつも笑ってて、でもほんまはめっちゃ負けず嫌いなところも

集中すると癖でだんだんしかめっ面になっていく顔も

サークルの飲み会は騒がしいから得意じゃないのに無理に参加してるのも、その理由も

君の目線が 気持ちが どこを向いているのかも

 

全部、ずっと隣で見てきたから。

 

 

 

「正門ってほんまにお人好しよな。」

そう言いながら大吾はルーとご飯の配分きっちりにカレーを食べ終えた。「そんなんやからずっといい人止まりやねん。」

中高大と一緒の大吾は俺のことは何でも知っている。一番の理解者であることは間違いないが、オブラートに包まずにズバズバとものを言うのは正直傷付く。

「好きな子に優しくするのはええけど、そのうち利用されるで。ほな、俺バイトやから。」

冷め切った味噌汁をすすり、手を合わせ大吾の分のお皿もまとめて下膳コーナーに持っていく。

 

 

君は軽音サークルの同期。新歓のとき同じタイミングでチラシをもらいに行き、2人ともほぼ入ることに決めていたからその時に連絡先を交換した。最初にできたサークルの友達。

高校の時は軽音部がなかったからブラスバンド部にいたらしい。好きなバンドに憧れて、大学に入ったら絶対にベースをすると決めていたと楽しそうに話す。俺がもともとギターをやっていたと話すと、これから教えてな!と眩しいくらいの笑顔で言った。

お互いサークルに知り合いがいなかったため最初は2人で参加していた。1年経った今でもなんだかんだ同期の中で一番仲がいいと思う。

 

 

君が誠也くんを好きになった瞬間を僕ははっきりと覚えている。

新歓ライブ、何組か先輩たちのバンドが演奏していく中で、ボーカルとしてステージの上で歌う誠也くんを初めて見た。男の僕から見てもかっこいいと思った。その姿をキラキラとした瞳でじっと見つめる君。演奏が終わった後もぼーっとしていて、僕の声もあまり届いていない様子だった。別れ際、覚悟を決めた表情で君が言った、私も先輩みたいに上手くなると。

その日から君は昼休みも器楽室に行き練習をしていた。僕のところにも何度も教えてほしいとやってきた。その度に勘違いしてしまいそうになる気持ちを抑えて、出来るだけ丁寧に教えてあげた。

 

サークルに入って数ヶ月が経ったある日、ライブに向けて初めて先輩とバンドを組むことに。君は緊張した様子で「ちょっと行ってくる」とひとつ上の先輩がいる方へと向かった。帰ってくるなり、「誠也さんとバンド組んでもらえることになったんやけど…正門くんも入ってくれるよな…?」と反強制的にメンバーに入れられた。もちろんと返事をしたが、これから耐えられるのだろうか。

 

先輩に迷惑かけたくないと必死に練習する君。でも他のメンバーは全員経験者。まだミスの多い彼女は、まだまだやな〜とか本番はコード抜いとくか〜と言われて、ほんまにすみません!ちゃんと練習しときます!と笑っているけど、きっと結構傷付いている。そんな中、リーダーの誠也くんは雰囲気を壊さないようにしながらも、「お前らやって人のこと言えんからな!」って彼女を庇った。

苦笑いしながら嬉しさを堪える君の顔。

少しずつミスなく弾けるようになり、誠也くんから、「よう頑張ったな」と言われ一気に染まる君の頬。

ベースを弾いている時の君の目線。

全て全て近くで見ていた。

 

ある時、サークルの練習終わりにみんなで飲みに行こうという話になった。騒がしいのが苦手だからと大人数での飲み会はあまり得意じゃないと言っていた君は行きたいです!とすぐに手を挙げた。誠也くんが参加するからだろうなと薄々気付いてはいたが、お酒の弱い君が心配で僕も手を挙げていた。

 

君の隣、ウーロンハイをウーロン茶にすり替えるミッションに成功した俺はほっとしながら先輩たちが騒いでいる方を眺めていた。

さっきから君は楽しそうに話す誠也くんをチラチラと見ている。最初に半分ほど飲んだウーロンハイで少し酔っ払っているのか顔が少し赤い。そんなところも愛おしく思える。

 

「私、本番が終わったら、誠也さんに告白しようと思ってる…。気持ち伝えたいだけやけど、凹んでたら慰めてな。」と潤んだ目でこちらを見る。

真っ直ぐな君だからいつか想いを伝えるんだろうなとは思っていたけど、目の前で宣言されるとは思わなかった。感じた痛みを流すようにすり替えたウーロンハイを飲み干し「上手くいくよう応援してる」と伝えた。そのあと君は上機嫌で「正門くんってほんまに良いやつやなぁ〜」とノンアンコールであることにも気付かずとゴクゴクとジョッキを空にした。

 

本番が終わったら君は誠也くんの彼女になってしまうのだろうか。もちろん君の幸せを一番に願っているけど、僕ではだめなんやろうか。

 

 

そして迎えた本番。君は朝からソワソワしていた。初めに比べたら驚くほど成長したベース、やっぱり恋の力って凄いんやなぁと感心していると正門!と誰かに呼ばれた。

これ運ぶの手伝ってくれへん?と誠也くんが機材を指差す。2人で抱えながら階段を降りる途中、「今日、頑張りましょうね。」と声をかける。『おん、めっちゃ練習したもんな。俺最初〇〇から組んでくださいって言われて、正直どうなるんやろって心配やったんよ(笑)』「〇〇初心者ですもんね(笑)」『でもあいつ、あんなに根性あるなんて知らんかったわ〜』と誠也くんが笑う。その愛おしそうな横顔にどきりとした。

 

そしてあっという間に本番を迎え、無事成功。そのライブ一番と言って良いほど盛り上がった。興奮が冷めないまま、君は、行ってくると汗を拭う誠也くんのところへ駆けて行ってしまった。

どうか君が傷つきませんように。そう願う僕は大吾が言うようにとことんお人好しや。2人が部屋から出ていく後ろ姿を見つめながら僕はギターをケースにしまった。

 

 

 

「誠也さんと付き合うことになった!」

そうメッセージが来たのはその日の夜だった。どこかで予想はできていたけど溢れそうになる想い。ぐっと堪え、

「そっか、おめでとう!誠也くんに迷惑かけたらあかんで(笑)」

『分かってます〜(笑)色々ありがとう!正門くんのおかげ!』

僕のおかげって残酷なこと言うわこの子…と呟く。明日から君の近くにはいられないのかと思うと胸がチクリと痛んだ。

 

僕の前では見せたことのない幸せそうな顔で、誠也くんの隣で笑う君。可愛くて可愛くて虚しくなるけど、君が幸せならそれでいいかと思ってしまう。

 

 

『はぁ、ほんまに救いようがないわ。』

また大吾に怒られてしまった。「せやけど、〇〇めちゃくちゃ幸せそうやし、さすがに誠也くんには敵わんわ。」『まぁ確かに。でもその子もその子やで。もしかしたら正門の気持ち気付いてたんとちゃう?ずるいなぁ。』「いや、そんな言い方。」『まあえぇわ。その子のことはこれできっぱり忘れる!もう終わりにしいや!!次、次!』

 

次かぁ…まだ考えられなかった。もう少しだけ君への想いを持ったままでも良いだろうか。

 

 

君と誠也くんが付き合って半年ほど経ったある日、夜に突然君から電話がかかってきた。

「正門くん…今電話いける?」久しぶりに2人でご飯に行かないかという誘いの電話だった。誠也くんは?と尋ねそうになったが、何故だか聞かない方がいいと思い、了解の返事をした。

 

待ち合わせ場所に行くと、元気がなさそうな君の背中が見えた。居酒屋に入り、君がウーロンハイを頼む。いつだったか君のウーロンハイをウーロン茶とすり替えたことがあったなぁと懐かしいけど少し苦い記憶が蘇ってきた。

『昨日、誠也くんに振られた。』

なんとなく分かってはいたけど、君の作り笑いをみると胸が苦しくなった。「そっか…。」『正門くん、前に私が振られたら慰めてって頼んだの覚えてる?』「うん、覚えてるよ。」『今日、付き合ってくれへん?』「もちろん、気が済むまで。」

それから君が誠也くんと付き合っていた時の話を聞いた。とにかく大人でかっこいい誠也くんに釣り合うように必死で、少しのことで不安になって、信用できなくなって、結局振られてしまったという。今すぐ君はそのままでいいんやでと伝えられたらどんなに良いか。

 

居酒屋を出ると、酔っぱらったサラリーマンや二軒目を探す大学生がちらほらと見えた。

家まで送ると言おうと君に視線を戻すと

『カラオケしたいな』と君が突然言い出す。

『明日、早い…?』「朝からバイトやけど、仕方ないなぁ。行こか?」と言いながら期待してしまう自分がいた。

公園通りを抜けて見つけたやたら派手な電飾のカラオケボックス。バイトだろうか、ぶっきらぼうな声で店員さんに「奥の302で」と言われた。

 

『じゃあ、私から歌うわ!』と空元気だとはっきりわかる様子の君が入れたのはコテコテのラブソング。歌い出した君は少しずつ、声が弱くなっていく。君の淋しそうな横顔を見つめながら、真面目に聴いていた僕は忘れようとしていた君への気持ちが溢れそうになった。

 

君がサビのところで突然声を上げて泣き出した。僕は何も言えず、ただ残された伴奏と君の泣き声だけが狭い部屋に響いていた。

『ごめん…。』と震える君の背中があまりに小さく見え、衝動的に抱きしめた。

防犯カメラに背を向けるようにし、泣きじゃくる君の濡れた頬をそっと指で拭った。

 

もし君が僕の気持ちに気付いていたとして、ずるいと言われるんやったら、僕だってずるいと言われてもいい。誠也くんの代わりだったとしてもそれでもいい。今悲しむ君の一番近くにいたいんや。

「ごめんな…。」そう言って君の唇にそっとキスをした。

無理に背伸びなんかせんでも君はそのままで十分素敵なんやでって、誠也くんを忘れさせるなんてかっこいいことはまだ言えんけど、いつか君が君らしく笑える時まで、ずっとそばにおるから。たとえ時間がかかったとしても、待つのは得意やから。だから、だから僕を選んでくれませんか。

 

 

 

 

 

 

(力尽きる音)

これで終わり…?そうですよね。私もそう思います。ですがこれで終わりにさせてください(土下座)

元カレシリーズに比べたら全然短いのですが、正門くん目線で書くのって難しい!!!

正門くんらしさがなかなか難しくて上手く書けませんでした🥺口調とかこうしたほうがいい!などあれば教えてください。

 

今回マシュマロでいただいた#302なんですけど、予想以上に切なくて歌詞を見ながら途中で何度も、うっ…ってなってました。

次は遠距離恋愛中の東京彼女の人格を憑依させて、「大阪LOVER×小島健くん」をもう〜!鈍感なんだから〜!って言いながら書きたいです!!

 

今回もここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました✨