福本大晴と付き合って別れて元彼になる話

 

こんにちは、年下彼氏とうとう終わっちゃいますね…。1月に発表されてからずっと待ちきれなかったのに時の流れ早すぎない?毎週各担当がTLで墓たててるのを天国から見守っています。(晶哉ちゃんの名脇役で逝った女)

 

ということで「俺、元彼」シリーズ第2弾!

大晴くんで書いて欲しいと言ってもらったので大晴くんと出会って付き合って別れて元彼になる話です。大晴くんとは高校生の時に塾で出会うって決まってるんですよ。隣の進学校に通うかっこよくて頭が良くて男らしい自慢の彼氏です。よろしくお願いします(?)

 

 

 

 

『…えー、楽しかった体育祭文化祭も終わり、皆さんも受験生0学期ということで気持ちを切り替えて勉強に……』

蒸し暑い体育館、三角座りしている膝の裏に汗をかいているのが気持ち悪い。それよりも学年主任からの受験という言葉を聞きたくなくてぼーっと窓の外を眺めていた。

高校2年生の秋、そろそろ進路を本格的に考える時期に差しかかり、特にやりたいことも行きたい大学もなかった私はずっと気持ちが重かった。成績はそこまで悪くはなかったけど、三者面談で担任から文系のわりに英語が苦手だと言われ、学校から少し離れた新しい塾に通うことになった。

 

その塾は色んな学校の生徒が集まっているらしく見慣れた制服は少ない。けど一人ひとり映像授業を見て、分からないところを先生に質問しに行く形式だったので、人見知りの私にはちょうど良かった。

ある日、先生に質問しようと自習室を出たら、すでに先生が誰かと話していた。確か隣の進学校の制服。「先生!もうちょっと聞いてや〜、ほんでなそれから…」と、とても仲良さそうに話す男の子。後にしようと部屋に戻ろうとした時、先生が私に気付き

「あれ〇〇さん、質問?ちょっと大晴、ここは質問がある人が来るねん、お前は聞いて欲しいだけやろ、さっさと部屋戻れ!」

と言われて初めてその子と目が合った。ニコニコと太陽のような笑顔。照れ笑いしながら「あ、気付かんくてごめんな」と謝る彼に「全然、大丈夫!」と言いながら一気に顔が熱くなるのを感じた。

そのあと先生から「ごめんな〜大晴、ちょっと騒がしいけどええ奴やし賢いから仲良くしたって。」と言われた。

それから自習室の予約表に「福本大晴」の文字があると扉を開けて彼がどこにいるかを自然と探していた。

「大晴」という名前にピッタリな彼はみんなといる時はハイテンションでふざけている。みんなの人気者。よく駐輪場の自動販売機の前で友達におだてられてギャグをしている。お茶を買いに外に出た時にたまに目が合って「恥ずかしっ」と言いながらもいつも彼はニコニコしていた。それなのに自習室では真剣な眼差しでパソコンを見つめていて、その綺麗な横顔に見惚れてしまう。予約表を見ると毎日のように名前があり、夜遅くまで自習をしているみたいだった。

 

模試前だからか自習室がいつもより混んでいたある日、席を探していると大晴くんの隣しか空いておらず、ドキドキしながら邪魔しないようにとそっと座った。ついたての向こうから休むことなくカリカリと聞こえてくるシャーペンの音。真面目なんだなぁ。

30分くらい経った時、トントンと机を叩く音が。手元を見るとオレンジの付箋が貼られていた。「突然ごめんな。ずっと話しかけたかったけど勇気出んくて。いつもうるさくしてごめん!けど俺英語は得意やからいつでも聞いて!笑」

 

えっ、えぇぇーー!!!

何これ、どういうこと?ずっと話しかけたかった、とは?勇気が出んくて、とは??いつでも聞いて、とは???突然のことに思考が停止してしまった。でもそれ以上に嬉しさが爆発してすぐに付箋を取り出し「大晴くんありがとう。全然!見てて元気になるよ(笑)ほんまに!英語苦手やから是非!」となるべく丁寧な字で書いて、隣にそっと貼った。

するとぱっと大晴くんがこっちを見て目が合い、いつものニコニコ笑顔で外を指さされたのでそのまま一緒に外に出た。

 

いつもの自動販売機のある駐輪場。

「突然ごめんな!〇〇ちゃん。俺ずっと話しかけたかってんけど、チキってタイミング逃してて、今日隣に座ってて今しかないと思ってん!」 

予想外の展開に焦りながらも「こちらこそ、私も大晴くんと話してみたかったから!ありがとう!」とその後何を話したかあんまり覚えてないけど大晴くんのコミュ力で会話に困る事はなく、流れでLINEまで交換してしまった。来週模試やしそろそろ戻ろかって自習室に戻ったけど、ドキドキはおさまらず、隣に大晴くんがいると思うと尚更集中できなかった。

 

何日か経ったある日、質問のために先生ところに行くと、ニヤニヤしながら「〇〇さん、大晴とLINE交換したんやって〜?」と言われ、「え!何で知ってるんですか??」と聞くと「大晴めちゃくちゃ喜んでたで〜!ここだけの話、大晴いつも〇〇さんのこと聞いてきててん。前にな英語を伸ばしたいから来たらしいでって伝えたら 俺が教えたるやん!ってドヤ顔で言うてたわ〜まぁこれからも仲良くしたってな〜」

 

…そんなの聞いたらますます気になってしまう、確かに何で最初から英語苦手なの知ってるんだろうって思ってた。あんな人気者の大晴くんが私のことを…?なんて考えていると、大晴くんと同じ学校の制服を着た女の子たちがやってきた。予約表を見てすぐ「先生〜〜!今日福本先輩来てないやん〜モチベ下がるわ〜」と言いながら自習室に入っていく。

やっぱり大晴くん人気なんだな。大晴くんがあの子の彼氏になったら…そう考えると焦る気持ちがどんどん湧いてきて、もっと私も頑張らないとと思った。

 

そこで、これまでは映像授業が終われば帰っていたけど、大晴くんと同じように残って自習することにした。親にはもっと勉強したいからと伝えたけど、本当は大晴くんに少しでも近づきたいから。どんな理由でも今までよりずっと頑張ることができた。

大晴くんとはLINEを交換した日に よろしく!という会話をして以来連絡をとっていなかったけど、塾で会えば少し話すくらいには仲良くなれていた。

 

セーラーの上にカーディガンを着るようになった頃、夜は冷えるからそろそろマイブランケットとか持ってこようかなぁ疲れたなぁと考えながら何気なくスマホを見るとLINEの通知が来ていた。

福本大晴 「〇〇ちゃん、ちょっと休憩せん?コンビニ行こ!」

心臓が飛び出るかと思った。

私はすぐさま了解の返事をすると、大晴くんは4つくらい隣のついたてから、ひょこっと顔を出しニコっと笑った。

 

寒空の下マフラーを巻いて大晴くんと歩く、それだけで胸がいっぱいなのに、寒ない?って聞いてくれる優しさとか、意外と広い肩幅とか、車道側を歩いてくれるところとか、すべてにキュンキュンしてもう大晴くん大好きー!と大声で叫びたくなった。

大晴くんはとにかくずっと私を笑わせてくれた。笑いすぎてもう苦しいと言うと

「〇〇ちゃんの笑った顔好きやから、笑かしたくなんねん」とサラッと言われた

ズッキューーーーン

嬉しさと恥ずかしさで反応に困っていると、私と同じくらい照れた大晴くんは「やばっ、めっちゃ恥ずいわ」と頭をかきながら

「俺、〇〇ちゃんのことずっと気になってて。正直今日言うつもりはなかってんけど、そんな顔されたら待たれへんわ…。好きやから付き合ってほしい。」

 

 

はいーーーーーやっと付き合うところまでいきましたけどこれ毎回長ない?長ない?(末澤くんのヤバない?の声で再生してください)

大晴くんと同級生って強すぎだし進学校とか私なら同じ学校の友達に絶対マウント取っちゃう(嫌な女)      

さて続きます。

 

 

それから毎日のように自習室に残っては歩いて晩ご飯をどこかに食べに行ったり、疲れたらコンビニに行って寒いのにアイスジャンケンしたり。その途中で大晴くんの友達と会えばめちゃくちゃに揶揄われたけど正直それも嬉しかった。夜遅くなったら自転車を押しながら家まで送ってくれて、受験が終わったら卒業旅行はどこがいいかとかお互いの学校であった面白いこととか話は尽きなかった。

大晴くんの目指していた大学は私の偏差値ではかなり厳しかったけど、どうしても同じ大学に行きたくて必死に勉強した。大晴くんがいたから辛い受験期も頑張ることができた。

 

 

3月、大晴くんは見事地元の国公立大学に合格した。私はセンターが振るわず、滑り止めで受けた私大に通うことになった。同じ大学に通うことを夢見て頑張っていた分ショックは大きかったけど、もともと違う学校だし大学同士は近いからとポジティブに考えることにした。

 

学校が始まってからも大晴くんとは毎日電話をした。お互いの大学に潜って授業を受けたり、授業が終わる頃に迎えにきてくれたり、変わらず仲良しだった。

そしてあっという間に2年生になり、学園祭の実行委員に入っていた私は幹部を任されることになった。授業やゼミ、バイトと重なり一気に忙しくなり、大晴と毎日連絡を取ることも減ってしまった。大晴も同じように忙しそうにしているようだった。

学園祭の企画書提出が迫っていたある日、同じ幹部を務める正門くんと2人でカフェにいた。切羽詰まっていた私はスマホを何時間も見ずに正門くんと話し合っていた。

すると急に「〇〇」と呼ぶ声が。「大晴…」「ずっと返信ないし電話にも出えへんから迎えに行こうと思って来たら、ここで何してるん?」と聞いたことない低い声で言う大晴。

すぐに「ごめんなさい。もうすぐ学園祭の企画書提出さなあかんくて、ちょっと焦ってもうて、じゃあ後は僕がやっとくから、また明日」とパソコンをしまって帰ってしまった正門くん。「えっと、さっきのは同じ実行委員の正門くんで、週明け提出やから焦っててスマホ全然見てなかった。連絡できんくてごめんな…。大晴…?」と言うと暗い顔をした大晴が「こっちこそ、カッコ悪いところ見せてごめん。俺〇〇のことになると余裕ないねん…。」と言った。

 

それから大晴は気を遣ってくれているのか、必要以上に連絡をして来なくなった。お互いに忙しくて電話も週に一回ほどに。

電車の中でなんとなくストーリーのアーカイブを見返す。ふざける大晴ばっかり。いつから大晴の笑った顔見てないだろう…。カメラロールを見返しても、大晴と行った場所や一緒に撮った写真はずっとスクロールしないと出てこない。急に寂しくなって帰ったら電話してみることにした。

家について大晴に電話をかけると「もしもし…」と女の子の声。

心臓が引っ張られた。すぐに電話を切ってしまったけど、心臓のバクバクは止まらなくて頭が真っ白になった。

ずっと昔塾で聞いた「今日福本先輩来てないやん〜!」という女子の声を思い出した。大晴は人気者。きっと大学でもモテているんだろう。

信じていない訳ではないけど電話の声が何度も頭に響いてくる。忘れるために山積みになっている課題や企画書に集中することにした。

 

次の日正門くんが「どしたん?今日元気ないやん。」と声をかけてくれ、昨日あったことを話した。それはちょっと心配やなぁと気が済むまで私の話を聞いてくれた。

じゃあ今日は飲みに行こ!と誘われた居酒屋で普段よりもお酒を飲み過ぎてしまい、いつの間にか私はひどく酔っ払っていた。正門くんが優しく話を聞いてくれるもんだからついつい長居してしまい、そろそろ帰ろうかという頃にはもうすっかり夜が更けていた。

男として当然やと家まで送ってくれる正門くん。私の家まであと少し、角を曲がった公園の入り口に座る大晴がいた。私たちを見る、あの時と同じ顔で。「遅いやん。連絡つかんから家来てみたら、お母さんがまだ帰ってへんって。ここでずっと待っててん。」「ごめん大晴!ちょっと飲みすぎてし」「送ってくれてありがとうございました。」と私の手を掴み歩き出す大晴。絶対怒ってる。

「また正門っていう奴と一緒やったん?」「うん。でも私の話聞いてくれてただけ。連絡せずに遅くまで飲んでて心配かけてごめん。」「何?話って」「えっ……」「俺には話せんことなん。それもお酒飲んでしか話せんことなん。」「………だって、だってこの前大晴に電話したら、女の子が出た」「は?」「それでその相談に乗ってもらってただけ!」「何なんそれ?いつ?」「もう忘れた!!大晴やって周りにいっぱい女の子おるやん!」「そりゃ女子くらいおるけど、別に」「正直、私大晴のこと100%信じられてない!」「は?そんなん、俺やって最近〇〇のこと分からんようになってきたわ!」「もう、これ以上大晴といたら、嫌な女になりそうや…」「それってどういうことなん。」「…もう限界かもしれん」「なんなんそれ…そんなんやったら俺らもう終わりやな。」

もうお酒の力もあったけど言いたくないことまで溢れて涙もぼろぼろ溢れて、その後はどうやって帰ったのか覚えていない。

 

大晴とこれまで喧嘩したことがない訳ではなかったけど、お互い頑固だからいつも仲直りするまでに時間がかかっていた。きっと今回は本当にダメだと思う。勢いで別れてしまってから数日が経った。大学も違えば会うこともない。

正門くんは悪くないと言っても、泣きそうな困った顔で何度も謝ってくれてちゃんと話せば絶対仲直りできるからと強く言われた。 

 

 

帰りの電車、大晴の新しいインスタの投稿。大学の友達とキャンプをしていたみたい。久しぶりに大晴の笑顔を見た。何気なくユーザー名を押し、過去の投稿を見てみる。彼のインスタからは私との思い出が全部無くなっていた。会うたびにいつの間にか撮られていて、変な顔してるからやめてって言うのに「🤪」という謎の絵文字でまとめられていた私のハイライトも。全て綺麗に消されていた。

もう大晴からは私は消えているのか。

そしていつの間にかフォローも外されていた。

 

そこで吹っ切れた気がした。昔から彼はどこにいても人気者で私にとって届かない存在だったんだ。受験の時だってそう。私が必死に手を伸ばしても届かなくて、たとえ届いていたとしても私はずっと不安だった。元に戻っただけ。彼と私の人生はきっと交わらない運命だったんだとそう理解した。

 

別れてから一度だけ大晴とばったり会ったことがある。私がバイトしていたケーキ屋さんに綺麗でスタイル抜群の女の人と入ってきたのだ。店に入った瞬間、固まった大晴に彼女らしき人はどうしたの?知り合い?と聞いたけど、「ううん見間違いやったわ。」と何事もなかったかのように「ケーキ!どれがええかな。」と選び始めた。仲良さそうにケーキを選ぶ2人、誰が見てもお似合いだった。

「ケーキのプレートはどうなさいますか?」と聞くと女の人が恥ずかしそうに「6ヶ月おめでとうでお願いします」と一言。「…かしこまりました。」

果たして人生でこんな経験をしたことがある人はいるのだろうか。元彼の新しい彼女との記念日を祝う惨めな女。でも仕事だからと丁寧にチョコペンで書き上げた。

 

「保冷剤1時間ですので、早めに冷蔵庫にお入れください。」「はい、わかりました。」

「あの、お祝い楽しんでください!」笑顔で伝えることができたはずだ。大晴は結局最後まで全く目を合わせてはくれなかったけど、店を出る大好きだった広い背中に「お幸せに」と伝えた。

 

 

 

 

論文レベルに長くて私卒論進めずに何してるんだろうって思いました。これ提出していいですか?

一応このお話はこれでおしまいなんですが、この後、高校時代にお世話になった塾の先生に久しぶりに会いに行ったら、大晴が別れてすぐに荒れてた話とか忘れるために全部連絡先ブロックした話とか教えてもらうアフターエピソードもあるんです。けど疲れたので書けませんでした。

私いつも書いてて話が激重になるんですよ。(過去に何があったんだよって読んでて思います。)是非草マカロンに相談に乗っていただきたいのですが、ラジオは10代までなんですね。20代も頑張って生きてるからお話聞いてくださいよという切ない気持ちです😭

これからAぇTVロスに続き年下彼氏ロスも来そうで寂しいですね…。早く未公開特典メイキング映像#トシカレ総集編付きのDVD&Blu-rayBOXが発売されることを祈って強く生きていきます!

 

ここまでサバゲーのような鬼長いはてブにお付き合いいただいた方、本当にありがとうございました。『君のことが好き〜愛してる〜あいらーびゅ〜あい(自制)』